おいしいコーヒーにたどり着くための調整(1)
ハンドドリップコーヒーの味を決める要素はかなりたくさんあります。
使用する豆、水、ドリッパーやフィルター等の器具が同じとしても、淹れ方だけで以下の要素で自由な値を選択できます。
・メッシュ
・お湯の温度
・抽出時間
・抽出比率
・収率
(不明な用語は用語集を作成しておりますのでご参照ください)
これだけの要素「全てで運良く適切な選択を同時に行う」「そして偶然美味しかった時には同じ組み合わせを偶然再現する」なんてとんでもない確率です。
各要素にそれぞれ5段階程度の選択の幅があるとすれば4の5乗で625通りの組み合わせがあることになります。(実際にはもっと多いと思います/収率は他の4要素の影響を受け変化するため除外)
この中から(自分にとって)最適な組み合わせを見つけさらにその組み合わせを自由に再現できるようにするには「正確な結果の測定(評価)」と「実施した組み合わせの記録」が必須です。この2つを確実に実施した上で少しずつ微調整を行っていけば効率的に最適な組み合わせにたどり着くことができます。
組み合わせ(レシピ)の記録は問題なかったのですが、困ったのは正確な結果の測定(評価)でした。その中でも特に「収率」を味覚だけで判別するのが大変厳しかったです。
ちなみに収率とは「使用したコーヒー豆(粉)から何%の成分をコーヒー液内に取り出したかの割合」といった意味合いで、この値が味わいに与える影響がかなりあるようでした。
出来上がったコーヒーの収率を求めるには濃度を調べる必要があり、そのためには糖度計が必要です。
有名なのはアタゴ社のポケット糖度計(最新モデルは現在Amazon等に扱いが無く直販のみっぽい)ですが3万円以上します。
ポケットコーヒー濃度計 PAL-COFFEE (BX/TDS) | 株式会社アタゴ | ATAGO CO.,LTD.
(下記PAL-1は旧モデルだと思います)
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高すぎる!という場合はこちらが試してみる価値アリかも知れません。
価格はアタゴの10分の1以下です!
(計測範囲や精度の違いでバリエーションがありますがコーヒーに使用するにはBrix0~10%のものが分解能・精度ともに0.1%なので良いと思います)
先へ進むにはいずれかを購入する必要がありそうです。
迷うなぁ、、、ぶっちゃけ高くてもアタゴの濃度計が欲しいですwww
【抽出理論】用語集
- 粉量:使用するコーヒー粉の量。
- 注湯量:出来上がったコーヒーの量とは関係なく、上から注いだお湯の量
- メッシュ:コーヒー豆の挽き目の細かさ、挽き方
- 抽出量:出来上がったコーヒー液の量。
- 抽出比率(Brew Ratio):粉量と注湯量の重量比、または倍率。粉10gに対し注湯量が150gなら抽出比率は1:15、または15倍となる。BRまたはCBRと略す場合もある。
※抽出比率=粉量:注湯量
※抽出比率=注湯量/粉量 - 濃度:抽出液の中に何%豆(粉)の成分が溶け込んでいるかの割合。コーヒーの場合一般的にTDSを使用する。
※濃度=粉量✕収率/抽出量 - TDS:Total Dissolved Solidsの略で、コーヒー液の中に水以外の成分がどれだけ入っているかの割合。実際の計測ではBrix値に0.79を掛けて求める。
※TDS=Brix✕0.79 - Brix:液中に溶けている物質を可溶性固形物と言い、その濃度を光の屈折を利用して測定するとき表示する値を指す。Brix値は「屈折率」対「ショ糖(砂糖)水溶液100gに含まれるショ糖のg数」で目盛られており、ショ糖液濃度と一致する。
- 収率(Solubles Yield):使用したコーヒー豆(粉)から何%の成分をコーヒー液内に取り出したかの割合。収率が適正値より低いことを「未抽出」、適正値より高いことを「過抽出」と呼ぶ。
※収率=抽出量✕濃度/粉量
【抽出理論】注湯量と抽出量、どちらを量ればいいの?
【結論】
・ドリップされたコーヒー液の最後の一滴が落ちるまで待つ方法で入れる場合は注湯量、終盤の抽出液を落としたくない場合は抽出量を量ればよい。
・ただし抽出量を量りたい場合はドリッパーを手で持ち宙に浮かせてお湯を注ぐか、別途ドリッパーを支える道具が必要。
【参考リンク】
【本文】
ハンドドリップで自分の好みのコーヒーを淹れようと思っていろいろ調べ始めたとき、最初に困ったのがどのくらいの豆にどれくらいお湯を注げば良いのか、ということでした。
少しググると「コーヒー豆(粉)と使用するお湯の比率は1:16が国際標準」という様な記述がすぐ見つかりましたが、私が最初に豆を買ったコーヒー屋さんが推奨するレシピが「淹れたいコーヒー液の半分の量で抽出を終え、残りの半分はお湯を足す」という方法だったために混乱してしまいました。
前者はドリッパーに注ぐお湯の量を量り、後者はドリッパーから落ちてきたコーヒー液の量を量っています。
そこでさらに調べていくとどうやらハンドドリップでコーヒーを淹れると前半に美味しい成分が多く、終盤は雑味が多くなるため最後の一滴が落ちるまで待たずに抽出を終えるという考え方があるようでした。
それに対し最近ではコーヒー豆の品質が向上した影響なのか最後の一滴まで落とし切る方法を採用するバリスタも増えているとか。
なるほどなるほど、私の場合は高価な最高の豆だけを使い続けるみたいな予定は今のところないので終盤の抽出液は落とさず抽出量を量る方式で行きたいと思います。
ということで実践です。
昔からお世話になっているTANITAの1000円位で買ったキッチンスケールを引っ張り出し(貼付の写真は現行モデルでありうちの子ではありません)、いざスタート!
と、思ったのですがキッチンスケールにサーバー・ドリッパー・ペーパー・コーヒー粉と乗せてから気づきました!
これじゃあ注いだお湯の量しか量れないっ!
抽出量だけを正確に量るにはドリッパーをサーバーの上に置いてはいけないので、ずっと手に持ったままお湯を注がなければいけないじゃないかっ!
いったん手を止めてググってみたところ、ドリッパースタンドなるアイテムを使用する方法が見つかった(と同時に結構お値段がすることも判明した)ため、なんとか家にあるものをかき集めて代用品をこしらえてから再挑戦したいと思います。
以上、ありがとうございました。