ハンドドリップでおいしいコーヒーを

ハンドドリップでおいしいコーヒーを飲むためにいろいろ試行錯誤しています。

【抽出理論】収率について及び濃度・抽出比率との関係について

【まとめ】

  • コーヒー豆の水に溶ける成分の中でもすぐ溶けるもの、時間がかかるもの、高い温度でないと溶けにくいもの、等性質にばらつきがある
  • 溶け出しやすいのは「酸味→甘味→質感→苦味・雑味」の順
  • おいしい成分は18~22%くらいのときに一番取り出せる(SCAA基準)
  • 収率とは使用した粉の中の成分をどれだけ絞り出したかの割合である。
  • 低すぎる収率は軽く絞っただけの状態であり、取り出せていない成分が多く残っていることを示す。
  • 高すぎる収率は絞り出し過ぎであり苦味・雑味といったネガティブな風味まで抽出してしまっていることを示す。

 

【本文】

私が理解するのに苦労したコーヒーの味の調整に欠かせない数値についての補足を少しさせていただきます。

 

安定しておいしいコーヒーを淹れられる様になるにはレシピの記録と正確な結果の測定が大事だと以前書きました。

それらの中で少し理解するのに時間がかかったのが「収率」という概念と「濃度・収率・抽出比率の関連」でした。(それぞれの用語の意味は用語集をご参照ください)

 

色々調べた結果、濃度は「抽出液の中に含まれるコーヒー豆から出た成分が何%含まれているか」であるが、収率は「使用したコーヒー豆の重量のうち何%を抽出液の中に取り出すことができたか」の数値だと文字の上では理解しました。(ちなみにコーヒー豆の成分のうち70%くらいはそもそも水に溶けない成分なので収率が30%を超えることはほぼないそうです)

意味を知った上で最初に思ったのが「収率を求める意味って何?それがどう味に影響を与えるの?」ということでした。

 

それからさらにググりググり調べ続けてやっと理解したのは下記の内容。

  • コーヒー豆の水に溶ける成分の中でもすぐ溶けるもの、時間がかかるもの、高い温度でないと溶けにくいもの、等性質にばらつきがある
  • 溶け出しやすいのは「酸味→甘味→質感→苦味・雑味」の順
  • おいしい成分は18~22%くらいのときに一番取り出せる(SCAA基準)
  • 収率が低すぎる(未抽出)場合はおいしい成分が取り出しきれていない
  • 収率が高すぎる(過抽出)場合は余計な雑味、いやな苦味などまで取り出してしまっている
  • お湯の温度を上げると収率・濃度共に上がる
  • メッシュを細かくすると収率・濃度共に上がる
  • 抽出時間を長くすると収率・濃度共に上がる
  • 抽出比率(Brew Ratio)を粉量の割合が増える方向に変更すると濃度は上がるが収率は下がる
  • 抽出比率(Brew Ratio)を粉量の割合が減る方向に変更すると濃度は下がるが収率は上がる

 

ここを理解しないと濃度計を導入しても上手に味わいの調整を行うことができません。

特に「抽出比率の粉量を増やすと濃度は上がるが収率が下がる」「抽出比率の粉量を減らすと濃度は下がるが収率が上がる」の部分が直感的なイメージに反するため注意が必要です。

 

私の理解したところではこうです。

  • 収率とは使用した粉の中の成分をどれだけ絞り出したかの割合である。
  • 低すぎる収率は軽く絞っただけの状態であり、取り出せていない成分が多く残っていることを示す。
  • 高すぎる収率は絞り出し過ぎであり苦味・雑味といったネガティブな風味まで抽出してしまっていることを示す。
  • ドリッパー内の粉の量を10倍に増やしたのにお湯の量は変えないのであれば抽出されずにドリッパー上に残るコーヒーの成分は多くなる。
  • 逆に粉が10分の1に減っているのに同じ量のお湯を注ぐとするとおそらく粉に含まれる成分はいやな味わいも含めてほとんどお湯に溶けてサーバーへ落ちる。

と、最初の【まとめ】の内容に繋がります。

そして縦軸を濃度、横軸を収率とした時の抽出結果を散布図にすると下図の様になります。

SCAAの基準ではTDS濃度は1.15%~1.35%、収率は18%~22%が適切とされているのでその範囲外の結果となった場合は濃度・収率をそれぞれどう調整すればよいのかが一目瞭然です。ちなみに抽出比率を固定すれば結果はそれぞれの抽出比率に応じた直線上に収まるので微調整がしやすいです。

 

【余談(後日追記)】

抽出比率は「粉量:注湯量」の比率から求められ、濃度は「粉量✕収率/抽出量」、収率は「抽出量✕濃度/粉量」と抽出量に基づいて求められます。ここも最初混乱していたので上図内で記載されている抽出比率(1:15とか1:16)は「粉量:抽出量」で算出しており、実際には1:18と1:19くらいの値が正確だと思われます。

 

という様な感じでなんとか理解したのでようやく本格的にドリップの実践と調整に取りかかりたいと思います。